NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題41 「虐待」にあたる四つの行為とは?

 次の事件があります。

 家族構成:父(27)、母(30)、長女、長男の4人暮らし。父は2014年8月中旬、泣きやまない長男(生後5カ月)にいら立ち、自宅和室に置いたブランコの支柱(金属パイプ)で長男の頭をたたき、頭の右側に全治5カ月余りを要する多発骨折や硬膜下血腫の重傷を負わせた。

 新聞などでよく見るケースとして取り上げました。この事件の虐待理由は「泣きやまない」から「いら立」ってやったということです。「泣きやまない」という言葉を見逃してはなりません。子どもは5ヶ月です。泣きのピークこそ過ぎていますが、泣くのが当たり前の時期です。時刻が書かれていません。夜の8時頃に明るくしていたなら眠れずに泣いていたのかも知れません。母親の行動が書かれていません。5ヶ月は愛着形成をつくる時期ですから母親の愛情を求めていたのかも知れません。父親と母親が泣いた時の基本的な手立て(「ミルクをあげる」「おむつを替える」「抱っこする」など)を知っていたかどうかも書かれていないのでわかりません。これらのことはわかりませんが、「泣きやまない」という言葉から両親がこれらのことを知っていなかったのではないかという推測は成り立ちます。これが「無知と無自覚の問題」です。虐待は命と発達にかかわる問題です。「知らなかった」では済まされません。しかし、知らないでおこなったとすれば社会的な問題ということにもなります。保護者だけを責めても全体の解決にはなりません。子育ての基本を知らずにいる大人がいるとしたならば、そのことを具体的に伝えていく仕組が社会の中に必要であるということです。

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