NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題42 なぜ、明治時代の日本の子どもは泣かなかったのか?

 子どもはどの国にあっても、大人にとっては困る行為、手のかかる行為をするものです。そのようなときに日本の子どもは叱られなかったのでしょうか。このことに対して渡辺京二氏はとても興味深い説明をされています。[25]

 泣く必要がなかった

 「泣く必要がなかった」とはどういうことでしょうか。二つの要因があります。

 A 従順で素直だった

 親の言うことを聞くとか、目上の人を敬うという礼儀作法については小さい頃から教えられているので、叱られるようなことをしないし、したとしても素直に従うのでぶつかることがなかったというわけです。このことについても外国人の記録があります。

 Mイザベラ・バード:「私は日本の子どもたちがとても好きだ。私はこれまで赤ん坊が泣くのを聞いたことがない。子どもが厄介をかけたり、言うことをきかなかったりするのを見たことがない。英国の母親がおどかしたりすかしたりして、子どもをいやいや服従させる技術やおどしかたは知られていないようだ」

 Nモース:「世界中で、両親を敬愛し老年者を尊敬すること、日本の子供に如くものはない」

 Oフレイザー夫人:「怒鳴られたり、罰を受けたり、くどくど小言を聞かされたりせずとも、好ましい態度を身につけてゆく」

 体罰がないだけではなく、子どもが素直で従順なので、叱られることもなく、泣く必要もなかったというわけです。ここまでの記述を読み、現在の日本を知る私たちは、当時の日本の子どもの姿をどのようにイメージするでしょう。赤いほっぺたをし、目をキラキラさせた、従順で素直な子どもたちの姿を目に浮かばせ、そこに懐かしいプラスのイメージを持つことができる人は、伝統的な日本の子育てを復活させることができる人だと思います。私たちは「従順」という言葉をマイナスに受け取ってしまう場合もありますが、言葉の印象ではなく事実に目を向けるべきです。「世界で一等可愛い子供」とまで書かれ、多くの外国人が絶賛したかつての日本の子どもの姿から、現在に欠けている何かを見つけ出し、つないでいく行動が求められていると思うのです。

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