NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題9 お母さんの「抱っこ」が一番大切な時期はいつでしょう。

 次に、誕生後〜6ヵ月くらいについて考えてみましょう。
 この時期はお母さんと赤ちゃんとが信頼を強める時期です。お母さんの「抱っこ」と「笑顔」が重要です。お腹の中にいた時の赤ちゃんは羊水に包まれています。羊水の中ですからいつもプカプカですし、体内ですからぬくぬくです。それが誕生後はいきなり空気にさらされるわけですから環境がまるで違います。その違いを埋めてくれるのがお母さんの抱っこです。抱っこは、羊水の中にいた頃に近い感覚で、ぬくぬく、ふわふわの安心を得られる貴重な時間なのです。[20]

 笑顔も大切です。この時期の赤ちゃんの視力は20p〜40pで焦点が合うようになっています。これは赤ちゃんがおっぱいを飲むときにお母さんの顔と焦点が合うようにするためです。抱っこによる授乳はお腹を満たし、抱っこによる安心を獲得し、さらにお母さんの笑顔によって感情を育てる時間でもあります。
 人間の脳には様々な機能がありますが、愛情や感情を左右する部分は偏桃体(へんとうたい)です。アーモンドのような形をしていて側頭葉の奥に左右1つずつあります。この偏桃体が正常に育つために必要なのがお母さんの笑顔です。篠原菊紀氏は、人間には「いじめ回路」と「人間らしさの回路」があると指摘します。偏桃体がうまく育たないと他人をいじめたり嫌ったりする回路が強まり、正常に育つと人間らしい優しさに満ちた回路が強まるというのです。「見つめること」「笑顔」「抱きしめること」「触れること」などが、愛情表現の基本です。[21]

 誕生後〜六ヵ月は母親の愛情表現によって愛着をつくり、愛着を強める時期です。 

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