『子どもの「脳」は肌にある』の著者である山口創氏は乳幼児期の親子のスキンシップと思春期になってからの攻撃性、特に「キレる」という感情について調査を行いました。その結果、乳児期に母親とのスキンシップが不足していた子どもは、高校生になった時にキレやすい傾向があることがわかっています。アメリカでのプレスコットという心理学者の実験からも、非行少年の多くが幼少期の5感への刺激が不足している子が成人してからその不足を歪んだ形で補おうとすることを報告しています。リストカットやピアスやタトゥなどの自傷行為です。[24]
3歳までの愛着形成がうまくいかない場合には、反応性愛着障害を引き起こす可能性が高まります。反応性愛着障害には2種類あります。「誰にも愛着を求めないようになってしまう」という警戒心の強い孤立タイプと、「誰かれかまわず愛着を求めてしまう」という警戒心のまるでない安易な開放タイプです。孤立型は自閉症に近い症状で、開放型はADHD(注意欠如多動症)に近い症状です。また、反応性愛着障害という診断には至らないで、自閉症やADHDといった発達障害を引き起こす場合もあり、発症パターンは様々です。また、発症や診断にまでは至らないで、似たような症状を示す場合も少なくありません。そのリスクを明確に示すことは難しいのですが、「3歳までの愛着形成は大切である」ということに間違いはありません。
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