NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

【コラム】さっとママの体験D

生まれてからの一時間がとても大事

 出産とはお腹の中にいた赤ちゃんが初めて外の世界に触れる1大イベントです。様々な本に「生まれてからの1時間がとても大事」と書かれています。特に生まれてきてすぐお母さんと「肌と肌を合わせること」「目と目を合わせること」「お母さんのお乳を与えること」などは赤ちゃんを安心させるという意味でも、その後の母子1体感を作り上げていく上でも、母乳育児を始める上でもスムーズに移行しやすいという点で非常によいということでした。第1子の時もその大切さは理解していたつもりでしたが、初めての出産だったために息子との対面に感激していたら、あれよあれよという間に時間が過ぎてしまいました。できたのは「肌と肌を合わせること」くらいでした。もちろん「生まれてきてくれてありがとう!」「よくがんばったね!」と声をかけ、手のひらで息子の体をなでてあげられたのは素晴らしい体験でした。しかし、この1時間で「お乳を与えること」はできませんでした。その後、母乳育児がスムーズにできるようになるのに実に3カ月もかかってしまいました。
 それだけに第2子である娘の出産の時は悔いのないようにしようと思っていました。そして幸運にもやりたいことをすべてすることができました。それは夢のような1時間でした。まず、生まれたばかりの娘をへその緒がついたまま私の胸元につれてきてもらいました。このとき、生まれたばかりの娘が顔を上げて「あなたがお母さんなのね!」とばかりにまじまじと私を見たのです。娘とばっちり目が合ったことに私は感激しました。私はもう1つやりたかった大切なことを思い出しました。「お乳!お乳を飲ませたい」。生まれて1時間の間に赤ちゃんが飲むお母さんのお乳を「初乳」と言います。初乳を飲むという行為によってお母さんの授乳機能にスイッチが入り母乳育児がスムーズにいくそうです。娘がお乳をのめるように誘導すると娘は口をうねうねさせながらお乳を探し上手に飲み始めました。生まれてすぐにお乳を飲んでくれた!これもまた何と表現していいかわからないほど感激しました。
 生まれて1時間の間に「肌と肌を合わせること」「目と目を合わせること」「初乳を与えること」ができたおかげでその後スムーズに子育てを始めることができたように思います。私と娘は幸運にも無事に出産でき理想的な形で母子関係をスタートすることができました。それは息子の出産経験があったからこそと思います。また出産は様々なことが起こり得るので自分の理想通りにいくとは限りません。実際、多くのお母さん方が理想通りの出産でなくとも我が子を大切に慈しみ育てていることは事実です。「生まれてからの1時間はとても大事」ということを知った上で「たとえ理想通りにいかなくても大丈夫。乗り越えられる」と、どんと構えて出産に臨むことができたらいいですね。

>>

閉じる