NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題9 お母さんの「抱っこ」が一番大切な時期はいつでしょう。

 次に、6ヵ月〜2、3歳くらいについて考えてみましょう。
 生後6ヵ月というのは「人見知り」が始まる時期です。特定の人との愛着が完成したという証拠です。  この時期の抱っこは、愛情の「確かめ」と「貯金」です。泣いたらお母さんが来てくれるだろうかと試してみるのが「確かめ」です。すでにそれまでの6ヵ月間で愛着は形成されているのだからわざわざ確かめなくてもよさそうに思われるかもしれませんが、「確かめ」の失敗は「失望」です。「確かめ」は赤ちゃん自身の自発的な行為ですから、その行為が失敗に終わると失望が訪れます。よく「子どもは挫折を経験して強くなる」と言われますが、この時期の赤ちゃんにとっての失敗は教育上何もいいことはありません。強い失望は赤ちゃんの脳に傷を負わせる危険性すらあります。岡田尊司氏は『愛着障害』という著書の中で次のように主張されています。[22]

 愛着がスムーズに形成されるために大事なことは、十分なスキンシップとともに、母親が子どもの欲求を感じとる感受性を持ち、それに速やかに応じる応答性を備えていることである。子どもは、いつもそばで見守ってくれ、必要な助けを与えてくれる存在に対して、特別な結びつきをもつようになるのだ。求めたら応えてくれるという関係が、愛着を育むうえでの基本なのである。この時期、母親はできるだけ子どもの近くにいて、子どもが求めたときに、すぐに応じられる状態にあることが望ましい。

 6ヵ月〜2歳くらいの間には母子分離不安の時期があります。お母さんがちょっとでもいなくなると不安になってぎゃあっと泣き叫ぶ時期です。お母さんにとっては最後の大変な時期ですが、ここをうまく乗り越えた子どもは愛情というエネルギーを満タンにして「3歳の自立」を迎えます。

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