NPO法人エトセトラ / Qでつなごう!幸せの子育て・目次

問題1 赤ちゃんの夜泣きの理由はズバリ何?

【答え】

「朝は明るく、夜は暗く」という自然のリズムが狂うことで睡眠障害を起こすから。

出題のポイント

子育ての知恵をコミュニケーション・ツールにしませんか。ぜひ、読者のみなさんも、近くのどなたかに出題してみて下さい。問題1のポイントは、夜泣きが睡眠障害だという点です。生活リズムが規則正しければ夜泣きは起きません。このことを基本に据えて出題してみてください。

 では、昼の光はどうしたらよいのでしょうか。
これも普通の規則正しい生活から考えていくと答えが出てきます。
赤ちゃんは2〜3時間の昼寝をしますが、そのときに遮光カーテンを閉めて真っ暗にするのは不自然です。
『赤ちゃんなぜ泣くの?』の著者である中谷勇氏は次のように指摘されています。

「起床から就寝までの間の眠りが30分間〜1時間と細切れになり、午後に2〜3時間の昼寝ができなければ、睡眠障害の疑いがあります。睡眠障害の場合、夜も昼もあまり寝ないため、昼寝は部屋を暗くして少しでも長く寝てほしいと考えるのは親心でしょう。しかし、夜と昼の違いを身体にしっかりと覚えさせるためにも、昼間の眠りは普通に明るい部屋でさせることが大切です。」

 昼の光も、大人が普通に活動している部屋の明るさが、赤ちゃんにとっての自然な環境というわけです。
 ちなみに、中谷氏は病気に対する免疫力も体内時計のリズムと関係があると指摘されています。

 体内時計が正常な場合、免疫力は昼間強く夕方から弱くなり真夜中から早朝には最低になります。

 風邪のひきはじめに気づくのが夕方だったり、夜に熱が上がるのもこのためだというわけです。
 体内時計のリズムが狂うと免疫力のリズムも狂い、一日中免疫力が弱い状態が続くと言われます。
 つまり、夜泣きにもなりやすく、病気にもかかりやすい状態をつくってしまうわけです。[6]
 びっくりするような話はまだあります。赤ちゃんは体内時計の調節を光によっておこなっているわけですが、お母さんのお腹の中にいるときからすでにこの調節をおこなっているというのです。このことは国立精神・神経医療研究センターの太田英伸氏が明らかにされました。
 お母さんのお腹の中にいるのですから光の変化を感じないのではと考えたくなるところですが、実は赤ちゃんはホルモン(神経伝達物質)によって光を感じているのだそうです。つまり、お母さんが朝日を浴びて光を感じると、お母さんの脳内からメラトニンというホルモンが出て、胎盤を通ってその情報が赤ちゃんに伝わり、赤ちゃんも「時間」を感じ取るというのです。
 これは朝の光だけに限らず、規則正しい食事や規則正しい睡眠時刻の情報が伝わるということであり、赤ちゃんはそのことによって、お腹の中にいるときから、外に出たときの生活に合わせる練習を始めているということです。[7]
 たかが生活リズムの調整の話ですが、赤ちゃんにとっては健康に生き抜くための大切な努力です。
 そして、そのポイントは主に「光」にあります。周囲の大人がこのことを理解していれば、赤ちゃんへの接し方や子育て中のお母さんへの配慮の仕方が変わってくるはずです。

[1]中谷勇『赤ちゃんなぜ泣くの?』(明窓出版)13-14
[2]神山潤『子どもの睡眠』(芽ばえ社)24-25 画像は神山氏から使用許可をいただいています。
[3]小山恵美「ヒトの社会生活における光環境と生物時計について」
[4]Roffwarg, HP., Muzio, JN., Dement, WC. 1966 Ontogenic development of the human sleep-dream cycle. Science 152: 604-19. を参照して作成
[5]中谷勇『赤ちゃんなぜ泣くの?』(明窓出版)38-39,43,45-46,57
[6]中谷勇『赤ちゃんなぜ泣くの?』(明窓出版)65,28-29
[7]太田英伸『おなかの赤ちゃんは光を感じるか』(岩波書店)29-40

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