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第5回
 【馬場】失礼なんてとんでもありません。
      せっかく時間をかけるのなら少しでも意味のあるようにした方が
      良いという思いを書いたのです。
 3時間目:算数
算数の下の教科書18ページ〜19ページで、3桁÷1桁の学習を行いました。
□3の問題は次の通りです。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  627まいの色紙を5人で同じ数ずつ分けます。
  1人分は何枚になって、何枚あまりますか。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 (11月12日 18ページ □3を板書)
 「□3を読みます。」
 「全員起立!この問題を解くための式をノートに書きなさい。」

【馬場】では早速。なぜここで「全員起立」なんですか。
     教科書を開いていない子がいた,まだ教室にいない子がいた、
     ボーっとしている子がいた、などなにか子どもを追い込む必要が
     あったのでしょうか。
     「全員起立」は子どもに負荷を与える指示なので使い所を意識したほう
     が良いです
。  
 
「どんな式ですか」

 【馬場】「どんな」はだめです。「式を言ってご覧なさい」で十分。 
 
(子ども:627÷5です)「そうですね。教科書に書いているものね。」
 「教科書の627枚の色紙がかいてある絵を指差しなさい。」
「どの束から配ったらいいですか。」(子どもがちょっと困った顔をしたので)、
「100の束を1枚ずつにして、5人に1まい1まい・・・というふう
 に配りますか。それとも束のまま配りますか。」(子ども:束のまま)
「では、100の束、10の束、どの束から配ったら良いですか。」
 (進藤:ここでゴチャゴチャしています。)

 【馬場】確かにゴチャゴチャしていますね。
     「どの束から配ったらいいですか」という発問は教科書にあるのですか。
     それとも進藤先生が考えたものですか。
     もし教科書にないのならしないのです。「教科書通り」です。
     もし教科書にあるのなら「どの束から配ったらいいですか,○○さん?」
     と指名していきます。困った顔したって良いのです。
     次々と指名していきます。正解が出ます。そうして分かっていきます。
     発問を途中で変えてはいけません。余計分からなくなります。
 
「割り算の筆算も100の束から分けるように計算していくのです。」

 【馬場】説明してはいけません。この長さでぎりぎり許容範囲です。
 
「ノートに627÷5と書きなさい。(黒板に627÷5の筆算を書く)」
 「1番最初に何をするの?」(子ども:「6÷5で、1を百の位にたてる」)
「そうだね。よく探したね。教科書に書いているものね。
 それじゃ、今言ってくれたところをみんなで読むよ。」
(子ども全員:「6÷5で、1を百の位にたてる」)
「その1をどこに書くの、ノートの中に指を指しなさい。」
(1人ずつ指の置いている所を確かめる。2名の子が間違える。)
「教科書にも書いているけど、ここだよね。(黒板に1を書く。)
「赤鉛筆とミニ定規を出して、”たてる”を囲みなさい。  
 「それじゃ、次は何をするの?」(5と1をかける)
「5かける1の答えは?」(子ども:5です)  
「赤鉛筆とミニ定規を出して、”かける”を囲みなさい。    
(その間に、5×1=5の補助計算と筆算の中に5を黒板に書く) 
 その次は?」(子ども:6から5をひく。)
「6ひく5は?」(子ども:1です。」
「1はどこに書きますか。ノートに指を指しなさい。」
(1人ずつ指の置いている所を確かめる。4名くらいの子が間違っている。)
「そうだよね。ここだよね。」(黒板の筆算に1を書く)
「赤鉛筆とミニ定規を出して、”ひく”を囲みなさい。 
 「ここまで、計算の手順を確かめながら黒板をノートに写しなさい。」

 【馬場】うまく書けないんですが,一つ一つの手順ごとにノートに書くほうが
     良いのです。これ以下の部分もそうなのです。わたしならこうする、
     というのを書いていきます。

+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

「627÷5を筆算でノートに書きなさい。定規使ってますか」
「まず何をしますか,みんなで言ってご覧なさい」 <6÷5>
「まず何をしますか、**さん」「念のためにもう一人、++くん」  
「何が立つ?」 <1>
「その通り、1をどこにたてる?その通り!6の上だ。ノートに書きなさい」
(教師も板書する)
「次に何をしますか」 <5と1をかける>
「そうだ,かけるだな。この掛け算はどこに書くんだった?
 そう、横に堂々と書くんだったね。書いてご覧なさい」
「書けた答えは?その通り!その5をどうする?」 <6の下に写す>
「すごい!すぐ写して。そしてどうする?」 <6−5>
「そう、引くんだな。これ難しいか?簡単だな。1年生の問題みたいだ。
 引いてごらん」
「次は何をしますか」<2を降ろす>
「そうだね。おろしなさい。ここまで合っているかお隣と確認しなさい。
 合っていた人?」
「ここで計算を終わって良いですか」 <だめ>
「ようし,全員起立。次何をするか言える人は座りなさい」
 (全員座れなくてもいい)
「座った人,言ってください」 <12÷5>
「分かった人座りなさい。もう一度みんなで」 <12÷5>
「何が立ちますか」<2>
「その2をどこに書くか?7の上だと思う人?2の上だと思う人?
 そうだね。2の上だ。書いてご覧なさい」
「次は何をしますか」<5×2>
「その通り!同じく横に堂々と書きなさい」
「その10をどうしますか」<12の下に写す>
「すごい,良く分かっている!やることは同じだね。写してご覧なさい」
「次も簡単だ。そう,12−10だな。はい,書きなさい」
「さらに次。何をするかみんなで言ってください」<7をおろす>
「すごすぎる。ストーンとおろしてください」
「これで計算は終わりですね」<違う>
「27÷5をしなくちゃいけない。でもやり方はまったく同じです。
 この続きをやってご覧なさい」
(何人かできたあたりで)「できている人言ってください。
 何を立てますか・・・・・・・(できていない子のヒントにします。)

+*+*+*+*+*+*+*+*+*+**+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+

 
【馬場】こんな感じでしょうか。先生と同じ所もあります。
     基本は「問う」です。それは先生もしていますね。
     しかし、違いも多いと思います。分かりますか?
     まず決定的なのは「ほめる量」です。先生のにはほとんどありません。
     (実際の授業ではあったのだと思います)
     次は先生のは単調な流れが同じように続いていることです。
     こんな時こそ「起立」させたり,手を挙げさせたり、隣と確認したり、
     みんなで言わせたり、といった変化が必要です。
     そして最後はやはり「テンポ」でしょう。先生はこの1問めで何とか
     分からせようとしています。
     もちろんそれは大切なことですが,その思いが強すぎると逆効果です。
     くどくなったり,余計な指示をしてしまったり,待ってしまったりします。
     例えば「指を指させる」のが何回もでできますがいらないです。
     それよりもテンポ良く書かせたほうが良い。
     問題を繰り返すことによって分かっていくのです。
     参考にしていただけたら幸いです。                                       
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